三角形の内角を合計すると180°になるのは、多くの人が知っています。それでは、なぜ三角形の内角の和は180°になるのでしょうか。

また、図形は三角形だけではありません。四角形や五角形、六角形などと無数に図形が存在します。これらを多角形といいます。それでは、多角形だと内角の和はどのようになるのでしょうか。これを理解することで、それぞれの角度を計算できるようになります。

また内角を学んだあと、外角についても理解しなければいけません。外角の性質を学ぶことで、多角形の角度を出せるようになります。

そこで三角形や四角形、五角形を含め、多角形の内角の和と外角の和がどのようになっているのか解説していきます。

三角形の内角の和が180°になる証明

最も重要な図形の一つが三角形です。三角形では、内角の和は180°になります。なぜ、三角形の内角をすべて足すと180°になるのでしょうか。この証明をしてみましょう。

内角の和が180°になることを証明するためには、同位角と錯角を理解しなければいけません。2つの線が平行な場合、同位角は等しいです。また2つの線が平行な場合、錯角は等しいです。この性質を利用することで、三角形の内角の和が180°になることを証明できます。

まず、三角形に対して以下のように平行な線を引きましょう。

そうすると、どうなるでしょうか。同位角は等しいため、∠bと∠b’の角度は同じです。また錯角は等しいため、∠cと∠c’の角度は同じです。

そのため∠a、∠b、∠cの3つを合計すると、図のように直線になることが分かります。直線の角度は180°です。そのため、三角形の内角を合計すると180°になります。こうして、なぜ三角形の内角の和が180°になるのか証明できました。

三角形の内角と外角の関係

先ほど、三角形の内角の和が180°であることを証明しました。この証明をするに当たり、隣り合わない内角の和と外角が等しいことが分かります。つまり、以下のようになります。

そのため三角形の外角を計算したい場合、内角を合計すればいいことが分かります。∠aの外角を計算したい場合、以下のようになります。

  • ∠aの外角 = ∠b + ∠c

この方法であれば、∠aを角度の計算することなく、∠aの外角を出すことができます。例えば、以下のようになります。

もちろん内角を計算した後、外角を出してもいいです。例えば、以下のようにして∠aの外角を130°と計算できます。

  • ∠a = 180 - (70 + 60) = 50
  • ∠aの外角 = 180 - 50 = 130

ただ、この方法だと計算式が増えます。もちろん計算ミスは多くなります。そのため、2つの内角を合計して∠aの外角を出すほうが簡単です。

四角形や五角形の内角の和

それでは三角形ではなく、四角形や五角形のように、多くの辺をもつ図形はどのようになるのでしょうか。内角の和はいくらになるのでしょうか。

多角形の内角の和については、以下のように増えていきます。

  • 三角形:内角の和は180°
  • 四角形:内角の和は360°
  • 五角形:内角の和は540°
  • 六角形:内角の和は720°

このように、多角形では辺が一つ増えるごとに内角の和は180増加します。この法則から、多角形の角度を計算できるようになります。

辺が増えるごとに内角の和が180°増える理由

なぜ、辺が一つ増えると内角の和が180°ずつ増えるのでしょうか。この理由について理解しましょう。これを理解するためには、三角形の内角の合計が180°であることを知っていれば問題ありません。

例として、四角形の内角の和を考えましょう。四角形に対角線を引くと、三角形を2つ作ることができます。

当然ながら、2つの三角形の内角をすべて足すと、四角形の内角の和になります。四角形の内角の和は、●と■をすべて足した数字です。

また既に知っている通り、三角形の合計は180°です。つまり、●をすべて足すと180°です。■をすべて足すと180°です。そのため、四角形の内角の和は360°だと分かります。

同じように、五角形や六角形についても、以下のように対角線を引いて三角形を作りましょう。

そうすると、五角形では3つの三角形を作れます。そのため、合計して540°です。また六角形では、4つの三角形を作れます。そのため、合計して720°です。三角形の性質を利用すれば、なぜ180°ずつ増えるのか理由を理解できます。

多角形について、内角の和がいくらになるのか忘れてしまうことがあるかもしれません。そうしたとき、このように対角線を引くことで三角形を何個作れるのか考えましょう。その後、三角形の数と180を掛けることで、内角の和の合計を出すことができます。

多角形の外角の和はすべて360°

ここまで、多角形の内角の和について解説してきました。一方で多角形の外角の和はどのようになるのでしょうか。三角形や四角形、五角形の外角の和がどのようになるのか理解しましょう。なお、外角とは以下の部分を指します。

そうしたとき外角の和については、すべての多角形で360°です。三角形や四角形、五角形と外角の和はどれも360°です。

なぜ、すべての多角形で外角の和が360°になるのでしょうか。この理由について考えてみましょう。この理由を証明するとき、多角形の内角の和を出すための公式を作る必要があります。おさらいすると、以下のようになります。

  • 三角形:内角の和は180°
  • 四角形:内角の和は360°
  • 五角形:内角の和は540°
  • 六角形:内角の和は720°

ここから、n個の辺がある多角形の内角の和は以下の公式になると分かります。

  • 内角の和の合計:\((n-2)×180\)

また多角形について、1つの内角と1つの外角を足すと以下のように180°になります。

辺がn個ある多角形の場合、内角と外角をすべて合計すると\(180×n\)になることが分かります。そこで、「内角と外角の合計」から、内角の和を引きましょう。以下のようになります。

こうして、すべての多角形において、外角の和は必ず360°になると証明できました。内角の和は変化するものの、外角の和は360°で一定です。

練習問題:多角形の角度を計算する

Q1. 次の角度を答えましょう

A1. 解答

(a)

三角形の内角の合計が180°になることを知っていれば、∠aを出すことができます。答えの導き出し方は2つあります。一つは、以下の三角形に着目することがあります。

2つの内角を足すと、外角になることは既に説明しました。そのためオレンジ色の角について、角度は以下のように70°となります。

  • \(40+30=70\)

また、∠aは三角形の外角でもあります。そのため、先ほど計算した角を利用することで、以下のように∠aは120°と計算できます。

  • \(∠a=70+50=120\)

参考までに、別の三角形に着目することによっても角度を計算できます。以下の三角形に着目します。

この場合、緑色の角度(三角形の外角)は90°です。そのため、∠aは以下のように120°です。

  • \(∠a=90+30=120\)

最終的な答えは同じです。どちらの方法で計算しても問題なく、計算しやすい方で答えを出しましょう。

(b)

図形の問題では、問題文だけでは答えられないケースがよくあります。その場合、線を引くようにしましょう。線を引かなければ、答えを出せないことがよくあります。この問題では、以下のように線を引きます。

そうすると、四角形を作ることができます。この四角形について、上図のようにそれぞれの角度を記入しましょう。そうすると、四角形のうち∠b以外の角度が分かります。四角形の内角の合計は360°です。そのため、∠bは100°です。

  • \(∠b=360-(70+130+60)=100\)

角度の問題では、分かる角度を問題文に次々と記入していくようにしましょう。また、いろんな線を引くことで、さまざまな角度を記入しましょう。これらをしていく中で、いつか答えを出せるようになります。

多角形の内角と外角の性質

三角形の内角の合計は180°です。ただ、なぜ180°になるのか理解している人は少ないため、事前に確認しておきましょう。三角形の内角の合計が180°になる証明をすることで、2つの内角を足すと外角になることを理解できます。

また、多角形の内角の和は辺が一つ増えると180°ずつ増えていきます。四角形や五角形と辺が増えるに従って、角度の和も増えるのです。一方で外角の和は必ず360°です。

これらの性質を利用して、図形の問題を解きましょう。角度の問題では、与えられている情報内で分かる角度を次々と記入していきましょう。場合によっては、線を引くことも重要です。これが問題を解くコツです。

図形の性質を理解しているからこそ、角度の問題を解けるようになります。三角形だけでなく、四角形や五角形など、多角形の角度の性質を理解しましょう。