中学数学では平面図形について学びます。その中で重要な項目の一つが対頂角、同位角、錯角です。図形の問題では、この3つの角は頻繁に出てきます。そのため、必ず理解しなければいけない概念といえます。
それでは、対頂角や同位角、錯角はどのような角なのでしょうか。また、どのような性質があるのでしょうか。
これら3つの角で重要なのは、「角度が同じ」という考え方です。そうしたとき、なぜ角度が等しいのか理由まで考えると、数学をより深く理解できるようになります。証明は簡単なので、角度が等しい理由についても理解しましょう。
そこで平面図形で重要な対頂角や同位角、錯角について、どのような性質があるのかについて、理由を含めて解説していきます。
もくじ
平面図形の対頂角は角度が同じ
平面図形の角の種類では対象角を学びます。対頂角とは何でしょうか。対頂角とは、「2つの直線が交差するとき、向かい合った角」を指します。
例えば、以下は対頂角です。
このような関係にある角を対頂角といいます。重要なのは、対頂角は必ずそれぞれの角度が同じになることです。対頂角である∠Aと∠Bがある場合、「∠A=∠B」になることを覚えておきましょう。
角度が同じになる証明
それでは、なぜ対頂角は角度が等しくなるのでしょうか。この証明については、これまで学んできた数学の知識によって説明できます。
例として、以下の関係の∠A、∠Bがあるとします。
直線の角度は180°です。そのため、∠Aの角度は以下のように計算できます。
- \(180°-120°=60°\)
同じように考えると、∠Bは以下のように計算できます。
- \(180°-120°=60°\)
今回は120°として計算しましたが、別の角度と仮定して計算したとしても、∠Aと∠Bは必ず同じ角度になります。こうして対頂角は必ず同じ角度になると証明できます。
同位角と錯角の関係を理解する
対頂角を理解したら、次は同位角を学びましょう。同位角とは、2つの直線が交わることで出きる角度を指します。以下の関係にある角度が同位角です。
同位角はイメージで理解するようにしましょう。2つの直線に対して、同じ位置にある角が同位角です。
また平面図形では、錯角についても学びます。錯角では、以下の関係にある角が該当します。
同位角が存在する場合、必ず錯角も存在します。同位角と錯角について、言葉で説明するのは非常に難しいです。そこで、どのような角なのか上の図のようなイメージで覚えましょう。
平行な線の場合、同位角や錯角はそれぞれ角度が同じ
同位角と錯角で重要なのは2つの線が平行のときです。平行な場合、以下のことが成り立ちます。
- 同位角は等しい
- 錯角は等しい
2つの線が平行でなければ、同位角や錯角が等しいとはいえません。平行の線でなかったとしても、同位角と錯角は存在します。ただ同位角や錯角が同じであるためには、2本の線が平行である必要があります。
・同位角と錯角は同じ角度になる
これらを理解すれば、2本の線が平行のとき、同位角と錯角の角度はそれぞれ等しいことが分かります。錯角の対頂角が同位角だからです。
そのため平行の線では、同位角も錯角も同じ角度になることを理解しましょう。
・平行の記号は//となる
なお平行を表す記号は//です。例えば\(l//m\)の場合、\(l\)と\(m\)の線は平行であることを意味しています。
同位角や錯角の角度が同じになる理由
それでは、2本の線が平行のとき、なぜ同位角や錯角が同じ角度になるのでしょうか。この理由について考えましょう。この理由を考えるとき、三角定規を利用するようにしましょう。
三角定規をスライドさせて線を引けば、2つの平行な線を引くことができます。以下のようになります。
その結果、2本の平行な線に対する同位角を作ることができます。同じ三角定規を利用しているため、同位角は同じです。ここから、平行な線では同位角が同じだと分かります。数字で証明しなくても、図形を描くことで同位角が同じ理由を理解できます。
また前述の通り、錯角と同位角は対頂角の関係にあります。そのため2本の線が平行な場合、錯角は等しいと理解できます。
錯角には4つのパターンが存在する
同位角については、誰でも簡単に理解することができます。一方で錯角については、初めて学ぶときは区別が難しいです。そこで、パターン分けして錯角を覚えるようにしましょう。具体的には、錯角を4パターンに分けるといいです。
錯角を理解するとき、以下の4種類に分けるのです。
錯角では、すべてZの形をしています。錯角によっては逆向きのZであったり、Zが潰れた形になったりしています。ただいずれにしても、Zの形が錯角です。
練習問題:対頂角、同位角、錯角の角度
Q1. \(l//m\)のとき、a~dの角度を答えましょう
A1. 解答
(a, b, c)
対頂角、同位角、錯角をそれぞれ答えましょう。
- a:60°(対頂角)
- b:60°(同位角)
- c:110°(錯角)
(d)
応用問題では、dの角度を求める問題が出されます。問題文のままでは、dの角度を答えることはできません。そこで、平行線を以下のように加えましょう。
このように線を加えることで、dの角度が分かるようになります。同位角と錯角を利用することで、一方は40°、もう一方は70°と分かります。そこで2つの角度を足すことで、dは110°となります。
平面図形の角度を答えるとき、あなたが平行の線を加えなければ問題を解けない場合はよくあります。問題文を出されたとき、何も線を加えないのではなく、積極的に線を加えるようにしましょう。一本の平行線を描くだけで、答えを出せる問題はたくさんあります。
平面図形の角度が等しくなる条件を学ぶ
図形で角度の問題は頻繁に出されます。角度の計算を学ぶとき、対頂角や同位角、錯角は基本的な内容です。この概念を理解できていないと、その後の数学の問題を解くことはできません。
角度の性質をおさらいすると、以下のようになります。
- 対頂角:必ず角度が等しい
- 同位角:線が平行のとき、角度が等しい
- 錯角;線が平行のとき、角度が等しい
角度を計算するだけでなく、合同や相似の証明など、数学では多くの場面で対頂角、同位角、錯角を利用します。そこで、これら角の意味や特徴を理解するようにしましょう。