平面図形の問題で最もひんぱんに出される図形が三角形と四角形です。三角形と四角形の性質を理解していない場合、小学算数の図形問題を解くことができません。とくに図形の問題では角度が重要になるため、三角形と四角形の角度がどうなるのか学びましょう。
なお三角形と四角形には種類があります。角度によって三角形の呼び方が変わります。四角形も同じように、角度がちがうと名前が変わります。
三角形と四角形の角度と種類を学びましょう。図形の角度や名前を理解しないと問題を解くことができないため、それぞれの関係を理解する必要があります。そこで、三角形・四角形の角度を解説していきます。
もくじ
三角形の内角の和は180°になる
3つの角をもつ図形を三角形といいます。以下はすべて三角形です。
三角形では、それぞれの場所が以下のような名前になっています。
なお三角形には「3つの内角(内側の角度)をたすと180°になる」という性質があります。この性質を使えば、分からない角度を計算することができます。
例えば、以下の\(a\)の角度はいくらでしょうか。
2つの内角をたすと\(60+70=130\)になります。また、三角形の内角をすべてたすと180°です。そのため180°から130°(2つの内角の和)を引くと、\(a\)の角度がわかるようになります。
- \(180-130=50\)
こうして、\(a\)の角度が50°とわかりました。
なぜ3つの角度をたすと180°になるのか
すべての三角形では、3つの内角をたすと180°になります。それでは、なぜ3つの角度をたすと180°になるのでしょうか。この理由を考えましょう。
まず、以下のように\(a,b,c\)の角度をもつ三角形があります。
次に、まったく同じ形の三角形を以下のように置きます。
そうすると、角\(a\)と角\(b\)が隣り合うようになります。次に以下のように、角\(a\)、角\(b\)、角\(c\)が隣り合うように配置します。
そうすると角\(a\)、角\(b\)、角\(c\)を並べることで180°を作れることがわかりました。これが、三角形の内角の和が180°になる理由です。
ここまでの解説は「三角形の内角の和が180°になる証明をした」というわけではありません。3つの角度をたすと180°になることを証明するのは、中学数学など高度な数学を学ぶと可能です。ただ小学校の算数では、このようにして理解すればいいです。
・2つの内角をたすと外角になる
なお、三角形の外側にある角度を外角といいます。三角形の外角には、「2つの内角をたすと計算できる」という性質があります。以下のようになります。
先ほど、三角形の内角の和が180°になると説明をしました。そこで先ほどの図を確認すると、2つの内角をたすと外角になっていることがわかります。
\(a\)の角度を出した後、180°から角\(a\)を引くことで外角を出すことができます。ただ、2つの内角をたすことで外角を計算することもできるのです。
三角形の種類:正三角形、二等辺三角形、直角三角形
このような三角形の性質を理解した後、特殊な三角形を学びましょう。特定の形をした三角形には名前がつけられています。そこで、以下の三角形の名前を覚えましょう。
・正三角形
3つの辺の長さが同じ場合、その三角形を正三角形といいます。
また正三角形の場合、すべての角度が等しいです。三角形の内角の和は180°なので、正三角形ではすべての角度が60°です。
- \(180÷3=60\)
正三角形では角度が決まっています。
・二等辺三角形
2つの辺の長さが等しい場合、その三角形を二等辺三角形といいます。
また二等辺三角形では、底辺にある2つの角度が必ず等しくなります。
・直角三角形
直角(90°の角)をもつ三角形を直角三角形といいます。以下のような三角形が直角三角形です。
なお、2つの辺が等しい直角三角形を直角二等辺三角形といいます。以下が直角二等辺三角形です。
直角三角形では、1つの角度が90°であるため、その他の2つの角度をたすと90°になります。
- \(180-90=90\)
また前述の通り、二等辺三角形では2つの角度が等しいです。そのため、直角二等辺三角形にある残りの2つの角度はそれぞれ45°です。
- \(90÷2=45\)
直角二等辺三角形の場合、すべての角度が分かります。
四角形の内角の和は360°になる
三角形の性質について学んだあと、四角形の性質と種類について学びましょう。まず、四角形の内角の和はいくらになるのでしょうか。すべての四角形では、内角の和が360°になります。この性質は必ず覚えるようにしましょう。
以下の4つの角(●)をたすと、合計は360°になります。
四角形の場合、3つの角度が分かっていれば、残りの角度がわかります。360°から3つの角度を引くことで、残り1つの角度を計算することができます。
対角線を引くと、内角の和が360°になる理由がわかる
それでは、なぜ四角形の内角の和が360°になるのでしょうか。この理由を理解するため、四角形に対角線を引きましょう。対角線とは、以下のように向かい合っている頂点を結ぶ線を指します。
四角形に対角線を引くと、以下のように2つの三角形ができます。
三角形の内角の和は180°です。また2つの三角形があるため、内角の和は360°です。\(180×2=360\)だからです。そのため、四角形の内角をすべてたすと合計で360°になります。
重要な四角形が正方形と長方形
それでは、四角形にはどのような種類の形があるのでしょうか。四角形で重要なのが正方形と長方形です。
・正方形
4つの辺と角度がすべて等しい場合、その四角形を正方形といいます。
すべての内角をたすと360°です。またすべての角度は同じなので、正方形の角度は90°です。
・長方形
4つの角度がすべて90°の場合、その四角形を長方形といいます。
正方形と同じように、角度は90°になります。なお長方形では、すべての辺の長さが同じである必要はありません。
特殊な形の四角形が平行四辺形、台形、ひし形
また四角形では平行四辺形や台形、ひし形を学ぶようにしましょう。
・平行四辺形
2組の向かい合う辺が平行な場合、その四角形は平行四辺形です。以下の四角形は平行四辺形です。
平行四辺形では、ペアとなる辺の長さは同じです。また、向かい合う角の大きさが同じになります。
・台形
1組の辺が平行な四角形を台形といいます。
4つの角度はそれぞれ異なります。また、4つの辺の長さは異なります。台形の特徴としては、辺が1組平行なだけです。
・ひし形
4つの辺の長さがすべて同じ場合、その四角形はひし形です。
正方形では、4つの辺の長さがすべて等しく、すべての角度がすべて等しいです。一方、4つの角度はすべて等しくないものの、4つの辺の長さがすべて等しいとひし形になります。なおひし形では、向かい合う角の大きさがそれぞれ等しいです。
多角形の内角の和はどうなるのか
なお三角形や四角形だけでなく、五角形や六角形はどのように考えればいいのでしょうか。図形の問題では三角形と四角形が主です。ただ、五角形や六角形の性質についても理解しましょう。
内角の和について、辺が一つ増えると内角の和は180°ずつ増えます。つまり、以下のようになります。
- 三角形:内角の和は180°
- 四角形:内角の和は360°
- 五角形:内角の和は540°
- 六角形:内角の和は720°
なぜ、このようになるのでしょうか。先ほどと同じように、対角線を引いてみましょう。
そうすると、五角形では3つの三角形を作れます。そのため、内角の和は540°です。
- \(180×3=540\)
また六角形では4つの三角形を作れます。そのため、内角の和は720°です。
- \(180×4=720\)
そうすると、以下のことが分かります。
多角形の内角の和を計算するとき、辺の数を確認しましょう。その後、辺の数から2を引き、180をかけます。そうすると、多角形の内角の和をだせます。例えば八角形には8つの辺があります。\(8-2=6\)です。そのため、八角形の内角の和は1080°です。
- \(6×180=1080\)
このようにして、多角形の内角の和を計算できます。
三角形と四角形について、角度と性質を学ぶ
算数では図形の問題が出されます。その中でも三角形と四角形はひんぱんに出されます。ただ三角形と四角形の性質を理解していないと問題を解くことはできません。そこで、まずは三角形と四角形について内角の和の性質を理解しましょう。
三角形では、必ず内角の和が180°になります。また四角形では、必ず内角の和が360°になります。この性質を利用して、他の角度を計算します。
なお特殊な形の三角形と四角形の種類を覚えましょう。三角形には正三角形や二等辺三角形、直角三角形があります。また四角形には正方形や長方形、平行四辺形、台形、ひし形があります。これらの図形の性質をすべて覚えなければいけません。
図形の問題を解くとき、それぞれの図形がもつ性質を理解しましょう。その後、角度の問題を解けるようになります。