電位と電場では、等電位面(等電位線)と電気力線の関係を学びます。電位が等しい点をつなげることで等電位面(等電位線)ができます。このとき重要なのが電気力線との関係です。等電位面(等電位線)と電気力線は垂直に交わります。
なお一様な電場と点電荷による電場では、等電位線の形が異なります。また点電荷による電場では、等電位線を利用することによって、電位によって作られる傾きがどのように変化するのか学びましょう。
それでは、等電位面や等電位線とは何なのでしょうか。電位と電場で重要な等電位面(等電位線)の性質を解説していきます。
もくじ
一様な電場での等電位面と等電位線
電位\(V\)が等しい面を等電位面といいます。電位が等しい場所をつなぐことにより、面を作ることができるのです。また面ではなく、線で記す場合は等電位線といいます。
例えば一様な電場では、正電荷からの距離が等しい場合、必ず電荷が同じになります。そこで電位が同じ場所を線で引くと、等電位線を描くことができます。例えば負電荷が0V、正電荷が40Vの場合、10Vの間隔で等電位線を書くと以下のようになります。
等電位線の書き方として、一定の電位差ごとに線を記すのが一般的です。異なる電位差で等電位線を作図すると、線が何を表しているのか理解できません。
また電気力線が交わらないのと同じように、等電位線も交わりません。異なる電位が交わることは当然ないので、理由は説明しなくても理解できると思います。
なお一様な電場について、等電位面では以下のようになります。
等電位面は立体を考えるときに役立ちます。二次元の作図では等電位線、三次元の作図では等電位面を利用しましょう。
点電荷の周辺にある電場と等電位面(等電位線)の関係
それでは、点電荷では等電位面(等電位線)はどのようになるのでしょうか。点電荷では、中心からの距離が等しい場合、電位が同じです。そのため、点電荷から距離\(r\)の球面が等電位面となります。
それでは、平面で確認するとどのようになるのでしょうか。点電荷の周りにある電場の等電位線について、電位差が同じになるように記すと以下のようになります。
一様な電場では、等電位線の間隔は等しいです。一方で点電荷による電場では、中心に近づくほど等電位線の間隔は狭くなります。
等電位線の間隔が狭いと電位の傾きが大きい
点電荷による電場では、なぜ中心に近づくにつれて等電位線の間隔が狭くなるのでしょうか。この理由として、点電荷の電位は以下の公式によって計算するからです。
- \(V=k\displaystyle\frac{Q}{r}\)
電荷と電場を学んでいる場合、既にこの公式を知っていると思います。この公式より、電位\(V\)と距離\(r\)は反比例するとわかります。そこで電位\(V\)が等間隔になるように、反比例のグラフと対応させましょう。
このように電位\(V\)の間隔は一定であるものの、距離\(r\)の間隔は一定ではありません。これは、\(V=k\displaystyle\frac{Q}{r}\)によって電位を計算するからです。
なお図より、等電位線の間隔が狭いと電位の傾きが大きくなるとわかります。等電位線の間隔というのは、電位の傾きを表しているのです。
等電位面(等電位線)と電気力線は垂直に交わる
それでは、等電位面(等電位線)と電気力線にはどのような関係があるのでしょうか。電気力線は高電位から低電位の方向に向いています。つまり、電気力線の向きは正電荷から負電荷です。このとき等電位面(等電位線)と電気力線には、以下の関係があります。
- 等電位面(等電位線)と電気力線は垂直に交わる
一様な電場では、図を確認すると、等電位面(等電位線)と電気力線は必ず垂直の関係であると容易に理解できます。重要なのは、点電荷による電場でも、等電位線は電気力線に対して垂直に交わる事実です。
点電荷からは、電場が放射状に発せられます。そのため、以下のように電場と等電位線は常に垂直の関係です。
電場と等電位線の関係というのは、一様な電場でも点電荷による電場でも共通しています。
複雑な電気力線での等電位線の書き方
等電位線と電気力線が垂直に交わることを理解すれば、複雑なケースであっても等電位線を書くことができます。
例えば正電荷と負電荷が存在する場合、等電位線は同心円状に広がります。
一方で同じ電荷(例えば正電荷と正電荷)がある場合、反発するように電気力線が広がります。そこで、電気力線に対して垂直になるように等電位線を描きましょう。
いずれにしても、等電位線と電気力線が垂直になるように線を引きましょう。
等電位面(等電位線)を書けるようになる
同じ電位をつなぐことによって得られる面が等電位面です。また、線の場合は等電位線と呼ばれます。一様な電場でも点電荷による電場でも、等電位面(等電位線)を描くことができます。
電気力線と同じように、等電位線を書くときはルールがあります。線が交わらないなどの基本的なポイントに加えて、等電位線と電気力線は必ず垂直に交わります。作図をするとき、このルールを守りましょう。
なお等電位線の間隔は電位の傾きを表します。一様な電場では、等電位線の間隔(距離)は同じです。一方で点電荷による電場では、中心に近づくほど等電位線の間隔が狭く、電位の傾きは急になります。
電位と電場では、等電位面と等電位線を学びます。そこでこれらが何を意味しているのか理解し、作図できるようになりましょう。