無機化学で学ぶ内容の一つが炎色反応です。金属イオンが溶けている溶液を燃やすと、色を発するのが炎色反応なのです。
炎色反応を学ぶとき、金属の種類と色を答えられるようにしましょう。色がわかれば、溶液中に溶けている金属イオンの種類がわかります。なお、炎色反応ではアルカリ金属とアルカリ土類金属が重要になります。
それでは、炎色反応によってどのような色を得られるのでしょうか。炎色反応を起こす金属の種類と色を解説していきます。
金属との反応で色を得られる
溶液中に金属イオンが溶けているとき、燃やしたとしても通常は無色です。ただ金属イオンによっては、白金線に溶液を付着させた後にガスバーナーで燃やすと炎は色を発します。
どのような色を発するのかは金属イオンの種類によって違ってきます。
なぜ炎色反応が重要かというと、溶液中に溶けている金属を判定できるからです。アルカリ金属やアルカリ土類金属を含め、イオン化傾向の強い金属は固体として析出させることが難しいです。そのため、溶液中に溶けている金属が何なのか判断できません。
そこで炎色反応を利用することで色を確認すれば、どの元素が溶けているのか判断できます。溶液中に溶けている状態であっても、金属イオンの種類を判断できることが炎色反応の特徴です。以下は炎色反応の例です。
燃やすとき、どの種類の元素を利用するのかによって炎の色が変化するのです。
金属イオンと炎色反応の色の関係
それでは、金属イオンと炎色反応の色にはどのような関係があるのでしょうか。それぞれの金属イオンを燃やすと、以下の色になります。
元素 | 色 |
リチウム:Li | 赤 |
ナトリウム:Na | 黄 |
カリウム:K | 紫 |
銅:Cu | 緑 |
カルシウム:Ca | 橙(だいだい) |
ストロンチウム:Sr | 紅 |
バリウム:Ba | 黄緑 |
前述の通り、金属イオンを含む溶液を燃やしてもほとんどのケースで炎の色は無色です。ただ、上の表で示したこれらの金属については炎色反応を示すのです。
無機化学の試験問題で炎色反応の色を問われる場合、覚えていなければ解答することはできません。一方、覚えていれば答えることができます。
語呂で覚える炎色反応の色
なお、炎色反応の色と金属の種類をすべて暗記する人はいません。全員が語呂を利用して覚えます。
化学を学ぶとき、語呂を利用するべき場面は少ないです。ただ元素周期表とイオン化傾向、炎色反応については語呂を利用しましょう。炎色反応では、以下の語呂を利用することで元素と色を対応させます。
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無理のある語呂ではあるものの、昔から利用されている伝統的な語呂であるため、ひとまずこの語呂を利用して炎色反応を覚えましょう。以下のように対応させます。
炎色反応で重要なのは金属イオンと色の関係です。そのため、方法はなんでもいいので覚えてしまいましょう。
ちなみに、炎色反応を起こすのは金属元素だけではありません。ホウ素Bも炎色反応を起こすことで知られています。ひとまず、代表的な炎色反応を覚えれば問題ありません。
花火は炎色反応を利用している最も身近な例
それでは、炎色反応を利用している身近な例としては何があるのでしょうか。恐らく、すべての人が炎色反応を見たことがあると思います。例えば、花火は炎色反応を利用している最も身近な例です。
花火に含める元素を変えることによって、発する色を変化させることができます。また一種類だけでなく、複数の元素を混ぜるケースは多いです。時間差で燃える元素が変化するように調節すれば、途中で花火の色を変えることもできます。
なお炎色反応というのは、誰でも試すことができます。例えば水に食塩(NaCl)を溶かし、脱脂綿に食塩水を染み込ませましょう。その後、脱脂綿を燃やすと炎は黄色になります。これは、Naによる炎色反応が起こっているからです。
そこで燃やす元素を食塩ではなく、硫酸銅(CuSO4)にすると緑色になりますし、水酸化カリウム(KOH)を燃やすと紫色になります。
また、私たちがスーパーで購入できる商品であっても炎色反応の実験が可能です。例えばミョウバンにはカリウムKが含まれているため紫色になります。ほかには、ホウ酸にはホウ素Bが含まれているため、炎色反応によって緑色になります。
炎色反応はすべての人が経験したことがあり、誰でも手軽に行える実験でもあるのです。
炎色反応での元素の種類と色を学ぶ
ほとんどの場合、元素を燃やしても無色です。ただ一部の元素については、燃やすことによって色を発します。
炎色反応の原理は大学課程の化学を学ぶ必要があります。ただ無機化学の基礎として炎色反応を学ぶのであれば、元素と色を対応させることができれば十分です。また試験問題で炎色反応が出された場合、元素を燃やすときに何色になるのか答えられるようにしておきましょう。
無機化学で基本的な内容の一つが炎色反応です。花火で炎色反応が利用されており、私たちは多くの場面で炎色反応を既に経験しているのです。