小学算数では速さの計算方法を学びます。速さの計算では必ず時間と距離を利用します。そのため速さだけでなく、経過した時間や進んだ距離を計算できるようにしなければいけません。
多くの人にとって、小学算数で理解しにくい分野が速さ・時間・距離の計算です。なぜ理解しにくいかというと、時間の単位換算が難しいからです。
さらには、公式の意味を理解しなければいけません。速さ・時間・距離をどのように利用するのかによって、でてくる答えが違います。それだけでなく、速さを利用して計算するときには単位を同じにそろえる必要があります。つまり、考えるべきポイントが多いのです。
速さの計算は難しいです。ただ速さ・時間・距離の計算ができないと、例えば旅行をするときに計画を立てることができません。日常生活でひんぱんに利用される計算であるため、速さ・時間・距離の計算をできるようにしましょう。
もくじ
時間と速さの単位
公式を利用して速さ・時間・距離の計算をする前に、時間と速さの単位を覚え、単位換算できるようにしましょう。単位換算できないと、速さ・時間・距離の計算をすることはできません。
距離の単位についてはすでに学んでいると思います。距離の単位として以下があります。
- mm(ミリメートル)
- cm(センチメートル)
- m(メートル)
- km(キロメートル)
一方、時間の単位は何でしょうか。距離や重さの単位であれば、10倍や1000倍することによって単位を変えることができます。一方、時間の単位は複雑です。10倍すれば、単位を変えられるわけではないからです。
時間の単位は以下になります。
- 秒
- 分
- 時間
それぞれ、以下の関係になっています。
このように100倍ではなく、60倍ごとになっています。このポイントに注意しましょう。つまり、1分は60秒です。また、1時間は60分です。
・速さの単位
時間の単位を学べば、速さの単位を理解できるようになります。速さには以下の3つの単位があります。
- 秒速:1秒で進む距離
- 分速:1分で進む距離
- 時速:1時間で進む距離
例えば時速50kmでは、1時間に50km進みます。また秒速3mでは、1秒に3m進みます。このように、1秒や1分、1時間にどれだけの距離を進むのか表すのが速さです。
時間と速さの単位換算をする
次に単位換算できるようにしましょう。例えば、1.6分は何秒でしょうか。1分は60秒です。つまり分を秒に変えるためには、60倍すればいいとわかります。そのため、1.6分は\(1.6×60=96\)秒です。
それでは、138分は何時間でしょうか。1分は\(\displaystyle\frac{1}{60}\)時間です。つまり分を時間に変えるためには、\(\displaystyle\frac{1}{60}\)倍すればいいとわかります。そのため、138分は\(138÷60=2.3\)時間です。このように、時間の単位換算では60という数字を利用します。
・速さの単位換算
次に速さの単位換算をしましょう。例えば、秒速3mは分速いくらでしょうか。速さの単位換算をするとき、速さの意味を理解しましょう。秒速3mでは、1秒で3m進みます。
また1分は60秒です。そのため1分では\(3×60=180\)m進みます。分速とは、1分に進む距離を指します。そのため秒速3mの場合、分速180mです。このように、単位の意味を理解して単位換算するようにしましょう。
それでは、時速36kmは分速で何kmでしょうか。また、秒速で何mでしょうか。60分(1時間)で36km進みます。そのため1分で進む距離を求めるためには、\(\displaystyle\frac{1}{60}\)倍すればいいとわかります。そのため、分速は\(36÷60=0.6\)kmです。
次に、分速0.6kmを秒速に直しましょう。その前に、kmをmにします。1kmは1000mです。つまり、1000倍すればkmをmに変えることができます。そのため、分速0.6kmは分速600mと同じです。
また、60秒(1分)で600m進みます。そのため1秒で進む距離を計算するためには、\(\displaystyle\frac{1}{60}\)倍すればいいとわかります。そのため、秒速は\(600÷60=10\)mです。
速さ・時間・距離を計算する公式の覚え方
ここまでの内容を理解すれば、速さ・時間・距離の計算ができるようになります。まず、理解しやすい距離から考えていきましょう。
・距離を計算する
先ほど秒速や分速、時速を解説しました。速さというのは、1秒や1分、1時間に何m(または何km)進んだのかを表す単位です。例えば、秒速5mでは1秒間に5m進みます。このとき10秒が経過すると、合計で\(5×10=50\)m進みます。
このように、速さと時間をかけることによって距離を求めることができます。
・速さを計算する
一方、速さはどのように計算すればいいのでしょうか。小学算数では平均を学びます。速さというのは、平均して1秒や1分、1時間でいくらの距離を進むのかを意味します。つまり、単位量あたりの大きさを計算すれば、速さをだすことができます。
例えば12分で合計600m進んだ場合、分速はいくらでしょうか。合計は600mであり、12分が経過しているため、12でわれば1分に何m進むのか計算できます。
\(600÷12=50\)です。そのため、速さは分速50mです。
・時間を計算する
それでは、どのように時間を計算すればいいのでしょうか。時間を計算するためには、速さと距離を利用します。例えば時速3kmで進む場合、12km進むには何時間かかるでしょうか。
1時間で3km進みます。そのため12kmを進むためには、12kmを3でわればいいとわかります。
そのため、答えは\(12÷3=4\)時間です。このように図にすると、どのように時間を計算すればいいのかわかります。
・速さ・時間・距離の公式の覚え方
なお、速さ・時間・距離をだす公式があります。以下のようになります。
- 速さ = 距離 ÷ 時間
- 距離 = 速さ × 時間
- 時間 = 距離 ÷ 速さ
ただ、この公式を覚えている人はほぼいません。そのため、この公式を利用するのはやめましょう。そうではなく、先ほどの図を作ることによって答えをだしましょう。
または、「きはじ」という方法を利用することによって公式を作ることもができます。
使い方としては、距離をだすときは「速さ×時間」を使います。また速さをだすとき、「距離÷時間」を使います。時間をだすとき、「距離÷速さ」を使います。三角形の上下はわり算を意味しており、三角形の左右はかけ算を意味しています。
なお、覚え方は「木(き)の下にいるはげたじじい」です。
速さ・時間・距離の計算をするとき、公式を覚える必要はありません。その代わり、この図を思い出せるようにしましょう。
文章問題を解く:速さ・時間・距離
それでは、実際に問題を解いてみましょう。問題を解くとき、先ほどの図を描くようにしましょう。その後、式を作るといいです。
例えば、以下の問題はどのように解けばいいでしょうか。
- 車が260kmの距離を5時間で走ります
- 速さは時速で何kmですか?
- この車が3時間を走るときの距離は?
- この車が468kmの距離を走るとき、何時間かかりますか?
(1)
車は合計で260kmを走ります。1時間に何km走るのか表すのが速さです。この車は5時間で260km走るため、260kmを5でわれば答えを得られます。
- \(260÷5=52\)km/時間
(2)
この車の時速は52kmであると計算しました。1時間で52kmを走るため、3時間での距離を計算するためには3をかければいいとわかります。
- \(52×3=156\)km
(3)
この車は1時間で52km進みます。合計で468kmを走るために必要な時間を計算するためには、468kmを52でわればいいとわかります。
- \(468÷52=9\)時間
単位換算により、単位をそろえる
ただ場合によっては、単位をそろえなければ計算できないことが多いです。そこで、単位が同じかどうか必ず確認しましょう。例えば、以下の問題はどのように解けばいいでしょうか。
- 分速50mで歩く人が4分24秒の時間をかけて歩きました。進んだ距離はいくらですか?
分速50mであるため、距離を計算するときの単位は必ず分を利用しなければいけません。分速にも関わらず、秒を利用すると間違った答えになります。そこで単位換算をすることによって、4分24秒を分のみに変えましょう。
注意点として、1分は60秒です。つまり、4分24秒は4.24分ではありません。そこで、24秒を分に変えましょう。1秒は\(\displaystyle\frac{1}{60}\)分です。そのため秒を分に変えるためには、\(\displaystyle\frac{1}{60}\)倍すればいいとわかります。
そこで計算すると、\(24÷60=0.4\)分です。つまり、4分24秒は4.4分であるとわかります。こうして単位を同じにそろえると距離の計算ができます。分速50mで4.4分の時間をかけて歩く場合、進む距離は以下のようになります。
- \(50×4.4=220\)m
分数を利用して単位換算する
なお中には、計算をしてわりきれないことがあります。その場合、分数を利用して計算するようにしましょう。例えば、以下の答えは何でしょうか。
- 時速60kmの車が80kmを走るとき、必要な時間は何時間何分ですか?
この問題では時速60kmと距離80kmを使用しており、単位は同じです。そのため、単位を変えずに計算できます。また1時間で60kmを進みます。そのため80kmを走るとき、時間を計算するためには80kmを60でわればいいとわかります。そのため、以下の式になります。
- \(80÷60=\displaystyle\frac{80}{60}=\displaystyle\frac{4}{3}\)時間
ただ、\(\displaystyle\frac{4}{3}=1.3333…\)と永遠と数字が続いていきます。そこで、分数を利用して計算を続けましょう。
\(\displaystyle\frac{4}{3}\)時間は何時間何分でしょうか。\(\displaystyle\frac{4}{3}=1+\displaystyle\frac{1}{3}\)です。
そこで、\(\displaystyle\frac{1}{3}\)時間が何分に当たるのか確認しましょう。1時間は60分です。そのため時間を分に変えるには、60倍すればいいとわかります。そのため、\(\displaystyle\frac{1}{3}\)時間は以下の計算によって分に変換できます。
- \(\displaystyle\frac{1}{3}×60=20\)分
こうして1時間に20分を加え、1時間20分が答えになります。
速さ・時間・距離の計算を行う
小学算数の中でも、多くの人で難しいと考えるのが速さ・時間・距離の計算です。計算できるようになるためには、単位換算できるようにしなければいけません。
また公式はあるものの、公式を覚えている人はほとんどいません。そこで図を描き、どのように計算すればいいのかを考えましょう。または、「きはじ」という方法を利用することによって計算してもいいです。
速さ・時間・距離の計算では文章問題がだされます。そこで式を作り、単位換算をすることによって答えをだしましょう。場合によってはわりきれないことがあります。その場合、分数を利用して計算を進めましょう。
多くの人が難しいと考える速さ・時間・距離の計算ではあるものの、やり方を理解すれば答えをだすことができます。そこで、どのように計算すればいいのか理解しましょう。